今年新しくえぞひぐま館ができたと聞きました。旭山動物園にいるひぐまの「とんこ」について教えて下さい!
そんな声にお答えします。
2022年に新しくオープンした「えぞひぐま館」。こちらの人気者はヒグマの「とんこ」と言います。
北海道にはヒグマがたくさんいる「クマ牧場」があるのに、旭山動物園でも1頭だけヒグマが飼育されています。
しかし「とんこ」がここで飼われている背景には悲しい過去があったのです。
▼この記事を書いた人
〇名前:どんぐり♂
〇関東から北海道へ移住して5年
〇道内の観光地・美味しい物巡りが好き
旭山動物園は年間パスポートを所有するくらい大好きな場所です。えぞひぐま館は人の在り方、動物との共存について非常に考えさせられる場所でした。
この記事には以下の内容が書かれています。
- 新しくオープンしました「えぞひぐま館」
- ヒグマの「とんこ」がいる悲しい理由とは
- ヒグマが人前に現れる理由
- ヒグマとの共存を考える
内容を読んでいただければ、ヒグマが人との共生に大切なこと、そしてとんこの過去がわかります。
人の食べ物を食べたり、人間が「いいことをしてくれる」と思ったヒグマは人を怖がらなくなります。
すると人里へ来るようになってしまい、駆除せざるを得ない悲しい結末が待っているのです…
それではえぞひぐま館の紹介をしていきます~
新しくオープンしました「えぞひぐま館」
2022年に新しくオープンしました「えぞひぐま館」。以前は屋外からヒグマを見るだけでしたが、ここでは屋内からも見られる・ヒグマのことが学べるとあって大人気の施設です。
こっちだよ〜
ヒグマのパネルがあったので一緒に写真を撮りました。
オスのヒグマは体長2.0m~2.8mで体重は250kgから大きい個体で500kgまでいるそう。
筋トレ好きな私ですが、山で出会っても正直太刀打ちできそうにないです…(泣)
そりゃ無謀よ!
その他、ヒグマの暮らしに関する資料が盛りだくさん展示されております。
こちらはヒグマが多数生息している知床のヒグマの資料。ヒグマの1年間がまとまっています。
季節によるヒグマの生活様様式や
食べきれない物を他の動物に食べられないように隠しておく習性など
僕はほっぺの中に隠しますよ~
一通り資料を眺めていると、ヒグマのことが一気に詳しくなれますよ!
ヒグマの特徴
続いてヒグマの特徴を3つ見ていきます。
- ヒグマの食べ物
- ヒグマの冬眠
- ヒグマの子育て
ヒグマの食べ物
好き嫌いなく、何でも食べます!!
ヒグマは基本なんでも食べる雑食です。どんぐりや栗などの木のみも食べれば、植物や魚、時期によっては弱った鹿も食べます。
上の写真ではぐるぐる回りながら、そこら中に止まったトンボを食べてました。
パクッパクッ「まだまだ足りないなぁ〜」そんなところでしょうか。
好き嫌いがないんだね~
ヒグマの冬眠
- 冬眠期間は11月・12月~3月・4月頃まで
- 体温の低下はわずか4~6℃だけ
- エサを食べず、排せつもせずに眠り続ける
- 冬眠中に出産する
冬眠期間は冬の始まりから春の始まりにかけて行います。
エサが多い時期はたくさん蓄えるため冬眠の時期が遅れ、エサが少ない時期は早めに諦めて冬眠に入ってしまうことが多いです。
他の冬眠する動物は巣穴の気温まで体温が下がりますが、ヒグマの特徴はあまり体温が下がりません。
冬眠する巣穴は毎年新しく掘って作りますが、それぞれお気に入りの場所があるらしく毎年決まった場所に作ることが多いです。
僕らもお気に入りの場所あるよ♪
そして食べず排出もせずに冬眠を続け、メスのヒグマは冬眠中に出産をして巣穴の中で育児もするのが特徴です。
これはヒグマだけの特徴だよ。
ヒグマの子育て
特徴:敵が少ない巣穴で大きく育てる
メスグマは1月~2月に冬眠している穴の中で出産をします。一度に産む数は1~3頭程産みます。
出産時は体長20cm、体重400g程度とヒグマの大きさを考えると非常に小さい!
僕より大きい!(当たり前)
小さな赤ちゃんヒグマは敵に襲われやすいですが、ここがヒグマの優れた習性の1つ。
半年ほど冬眠した穴の中で子育てをして、冬眠から覚めるのは5~6月。
そのころには小さかった赤ちゃん熊も産まれた時の10倍以上、5~6kgまで成長しています。
こうして小さく弱いうちは敵が少ない場所で育て、大きくなってから外の世界に出ることは動物が生き残るために非常に優秀な習性と言えるのです。
とっても賢いのね!
ヒグマのとんこが居る悲しい理由とは
とんこがここで飼われているのは理由があります。
とんこがまだ子どもの時に、母熊と一緒に道北にある中頓別町の町中に出没しました。
とんこのお母さんは人間の物を食べたのか、良い思いをしたのか不明ですが「人の近くにいけば食べ物がもらえる」、そう思っていたのです。
人間は何度も山へ追い返しました。
しかし野生動物は一度良い思いをしたら、人里に寄り付いてしいます。
結局、とんこのお母さんは人に危害を与える危険があるため地元の猟師に駆除されてしまいました。
残ってしまったまだ子熊のとんこは保護されて、旭山動物園で飼育されることになったのです。
自分の母親を駆除した人間に飼われ、1人ぼっちにした人間に見られて人気を集めるとんこ。
今、どんな思いでいるのか「とんこ」のみが知るところです。
ヒグマが人前に現れる理由
日本には北海道にいるエゾヒグマ(通称ヒグマ)、本州にいるツキノワグマがよく聞かれます。
最近は札幌の町にも度々出没してニュースになっています。
どうして山にいたクマが人の住む場所に出てくるようになったのでしょうか。
以下の3つの理由が考えられます。
- 住む場所が減少したため
- 食べ物が無くなったため
- 人に良い思いをさせてもらったため
住む場所が減少したため
木が伐採され、森林が壊されてヒグマたちの住む場所が減少したのが原因です。
行き場をなくしたヒグマはやむを得ず人の住む集落に降りてきてしまうことも…
北海道でも開発が進み、住宅地の拡大や新幹線の工事で森林が伐採されているのを間近で見ています。
そのためヒグマの住める場所が減っているのです。
食べ物が無くなったため
森林が伐採されて住む場所が減少したヒグマ。
木が伐採されることはエサとなるどんぐりやくるみの木も減少しています。
食べ物が無くなる→食べ物を探して歩くうちに、人の住む場所へ来てしまう悪循環になるのです。
人に良い思いをさせてもらったため
・観光客等から餌付けをされる
・人が捨てたゴミを食べる
主に上記2つの原因でヒグマの口に人間の食べ物が入ります。すると
「こんな美味しい物食べてるのか」
「もっと食べたい」
そんな考えをヒグマは持ちます。
その結果、人が住む町に出没するようになるのです。
ヒグマとの共存を考える
▼共存のため必要なこと
- エサを与えない・ゴミを捨てない
- 山間部で足跡やフンなど痕跡を見つけたら速やかに立ち去る
共存のためには人と熊の接点を無くすことが重要です。
エサをあげないことはもちろんですが、捨てたゴミをヒグマが食べてしまう危険もあるためゴミを山や畑で投げるのは厳禁です。
そしてヒグマは見た目とは裏腹にとても臆病な生き物です。人間が近くにいると身を潜ませてやり過ごそうとするのです。
山を歩く時は音が出るもの(ラジオや鈴)を常備して人間の存在を知らせ、ヒグマの痕跡を見つけたら深入りせずに立ち去ってあげましょう。
山は動物たちのすみかだね。
かつて「牛や馬など家畜を襲うから」という自分勝手な理由でエゾオオカミを絶滅させた人間。
その結果、天敵のいなくなった鹿は大量に増えて、生態系が壊れています。
今度は同じ過ちをせず、片方だけを悪者にすることなく「共存」の道を歩んでいきましょう。
みんな”友達”だと嬉しいなぁ
ちなみにこんな小さくて可愛い子もクマです。
名前は「アライグマ」と言い、聞いたことある方も多いと思います。
食べ物をしっかり洗ってから食べる賢い子なのです。
僕らよりお行儀がいいなぁ
まとめ:人も熊も同じ地球の住人。仲良く共生の道を目指そう!
いかがでしたでしょうか。
「とんこ」の過去について知り、ヒグマを見て「すごい大きい!」だけでなく、「悲しい…」そんなことも考えてもらえると幸いです。
とんこのような子熊を作らないためにも、私たちに出来ること↓
- エサを与えない・ゴミを捨てない
- 山間部で足跡やフンなど痕跡を見つけたら速やかに立ち去る
人もヒグマも他の動物もみんな地球の住民です。みんなが共存し、てみんなが幸せに暮らせたらいいなぁと思っています。
▼旭山動物園の他の動物たち
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